令和2年度 福祉医療機構(WAM) 社会福祉振興助成事業 活動報告

「送迎付きこどもの学習および仕事体験型居場所支援事業」

助成事業の取り組み内容と今後の展望

1,はじめに

当法人は2017年10月に鹿児島県鹿屋市にて団体設立し、2018年10月に法人格を取得。団体としてもまだまだ若く、そもそも代表の私は、鹿児島の出身ではなく、生まれも育ちも京都です。その京都にて、2010年から生活困窮者自立支援制度モデル事業(前身、パーソナルサポート・サービス・モデル事業)の業務に関わり、全国の従事者の集う研修に参加したり、先進的な取り組みを実施している地域への視察をおこなったり、従事者研修の講師などで各地域の個別課題を伺ってきましたが、その中でも一番気がかりだった地域が、ここ鹿児島県大隅地域だったのです。

2015年に生活困窮者自立支援法が制定された後は、京都府・京都市・労働局・中小企業組合等で構成された総合就業支援拠点にて従来から担っていた生活困窮者や就労困難者の支援と、京都府や府内各市をバックアップしながら同法における就労準備支援事業を、当時、相談員として、また理事として任務に就いていた団体にて受託し活動していました。しかし、自分の目で見た鹿児島県大隅地域についての気がかりがいつまでも消えず、2017年3月に京都での任務に区切りをつけて退職し、鹿児島県大隅地域への移住を決意しました。

おそらく、ここ鹿児島県大隅地域の課題と同じ様な地域は、きっと他にもあると思います。本来、法・制度というものは全国どこに住む方にも平等でなければなりません。しかし、地域によってはどうしても公平性が保てないこともあり、自治体独自で主体的に対応できればいいのですが、そう簡単でないことは京都時代に行政と一体となって活動してきましたので承知の致すところでした。

そこで私は、地域の中の住民や企業、支援機関など多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や専門分野の垣根を超えつながることで、誰もが平等に、自分らしく、活躍できる地域社会をともに創っていく仕組みを目指し、その取り組みが1つのモデルになればと期待しているところです。

 

2,事業背景・目的

ここ鹿児島県大隅地域は広大な土地でありますが(神奈川県より広い)、過疎地域ということもあって公共交通機関はバスのみで、居住地によっては1日数本というダイヤだったり、バス停まで非常に遠かったりで、移動手段として1人1台の自家用車等が必須となっています。要介護者や障がい者等であれば、制度による移送サービス等がありますが、それ以外の不登校児童やひきこもり状態の方にはそういった制度・サービスはありません。経済的困窮世帯や一人親世帯等の家庭事情で支援を受けさせたくても送迎できない家庭は、結果的に当事者を家に放置せざるを得ないのです。大隅地域におけるひきこもり状態の方は約2,400人にのぼり(鹿児島県全体約16,000人*当機構調べ)、予備軍の不登校児童含め、家に籠もりっきりとなっている方に対しては手詰まりの状態が続いているのが現状で、地域で独自対策を講じない限りは、家族からの相談があっても、当事者本人からの相談がなければ、さらに言うと、公的機関に来所してもらえなければ関わることさえもできないでいるのです。実際に、公的なひきこもり支援機関は鹿児島市内にしかないので、高速道路を利用するかフェリーに乗らないと通えず、経済的にも利用のハードルが非常に高いので、この地域の方やご家族はほとんど利用につながらず、ひきこもりの長期化や課題の重篤化が進んでしまっています。また、不登校支援の公的な適応指導教室は同域で3箇所しかなく、ほとんどが送迎可能な家庭の利用のみにとどまっている状態です。不登校の時期に支援を受けられず、なんとか高校に進学するも早期に中途退学し、結果、引きこもり状態となる事例も少なくありません。

私たち当機構の本体事業は大きく分けて2つ。1つは、就労支援及び日常生活自立支援をおこなう「かのや自立就労サポートセンター」。もう1つは、小中学生のフリースクールと主に通信制高校に通う生徒の学習支援をおこなう「PSスクールかのや」。この2つの仕組みで、不登校・引きこもり支援から、学習サポートと就職・進学サポート、そして、就職定着や生涯にわたるスキルアップの応援という、切れ目のない新しい「パーソナルサービス(個を尊重したオーダーメイドの創造型サービス)」を実施しています。社会資源が乏しい地域では、日常生活や就労において何かしら課題を抱える方にとっては、切れ目なく一貫したサービスがおこなえる仕組みやネットワークが必要であると考え、地域にとって新しい社会資源になるべくして自主事業として活動しています。

また、当機構が創る仕組みの基本的な部分は、所得制限や障がい認定等といった利用要件を設けていないというところです。公的支援となると必ず利用要件がありますが、当機構は民間のサービスであるため運用の自由性があります。利用可能な公的支援を活用しつつ、足りない部分を送迎やアウトリーチ支援等を独自のサービスで補います。また、既存の仕組みに当てはめず、個々を尊重し、個々の課題に合わせて、その都度、社会資源の発掘や新たな仕組みを創造し、柔軟にカスタマイズしていくことができます。これは、私たち民間の強みでもあります。

しかし、民間の大きな課題としては、「運営資金の確保」となってきます。今回の助成事業はこの地域ならではの支援の形の創出をおこなうことですが、一方で、すべて補助金等に頼らずとも、地域共生の中で運営資金を確保していくことで、他の過疎地域へのアピールになればと考えています。

 

3,事業内容・実績

柱立て1「こどもの居場所支援事業」

(内容)

鹿児島県大隅地域に在住の多くの不登校児童やひきこもりの方が、居住地や移動手段の有無、経済的や家庭の事情にかかわらず、平等に学習や体験の機会を得て、自分らしい生き方を見つけることをこの事業の目的とし、大隅地域の中間地点である本部以外に、北部と南部の2箇所にも拠点を設け、アウトリーチをきっかけに学校や自宅以外のもう一つの居場所に通えるよう送迎をおこない、学習支援や体験活動を実施します。

特に、南部地域は消滅可能性都市で30年後には若年層の人口が7割減になると言われており、一次産業の後継者不足が課題となっています。地域丸ごとを活性化するためにも、不登校やひきこもりを含めた若年層の活躍できる場づくりとして、従来の学習支援だけにとどまらない仕事体験が可能な「仕事体験型コミュニティハウス」を南部に設置し、世代を超えた地域の新たな拠点として、地域共生をテーマに地域の中でこども・若者の自立を目指します。

柱立て2「寄り添い支援地域ボランティア育成事業」

(内容)

地域の様々な方が集える居場所の運営ができるよう、年間100回以上の講座開催実績のある支援団体代表を講師に招き、傾聴などの技法や運営のノウハウなどの講座をおこない、地域の有志の方同士の顔の見える関係を継続的に構築し、地域内の情報共有や地域共生の取り組みのきっかけづくりへとつなげることを目的とし、南北会場の2か所開催で企画しました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のため4月は中止、その後3か月はリモートでの講習会に切り替え開催しました。その後は会場での開催となりましたが、当初予定していた北部会場は狭くて密となるため、もう1か所の南部会場での開催を取りやめ、会場を中心地1か所に規模を縮小して、第2.4木曜日の月2回で開催しました。

柱立て3「仕事体験プログラム事業」

(内容)

鹿児島県大隅地域は二次・三次・四次産業が後退している中でも、一次産業からの六次産業化が進んでおり、人材不足を外国人労働者や障がい者雇用で埋めているのが現状です。しかし、そういった方へのフォローが十分でなかったりして、企業と労働者のミスマッチが起こっています。ひきこもり状態の方は必ずしも障がい者というわけではないので使える制度がなく、生きづらさがあっても誰も就労までの手助けをしてくれません。相談機関で話は聞いてもらえても、次のステップとしてどこかに訓練に行くのもすべて自分か家族でなんとかしなければならないのです。

そこで、当機構は就労に向けた支援も含めて「送迎・訪問」を軸とした取り組みをはじめました。「働きたい気持ちはあるものの一歩が踏み出せない」という方のために、学生の間から様々な仕事体験をおこないます。同じ業界・職種でも作業の内容や職場の雰囲気まで含めると、本当に仕事というのは多様で、まずはそれを知ってもらうところから始めます。ネット検索が当たり前の時代にはなってきましたが、パソコンやスマホの画面で見るのと、実際に現場に足を運ぶのとでは、感じ取れるものが全然違ってきます。なので、私たちは地域の農業・漁業・畜産業の地元企業や、農業高校などの協力を得て1件1件送迎して周り、実際にそこで働く方の生の声を聞かせていただき、体験活動を通じて理解を深めていきました。

活動報告書 WAM助成事業の取り組み内容と今後の展望

 

【令和2年度の活動は終了致しました】

「送迎付こどもの学習および仕事体験型居場所支援事業」を始めます!

鹿児島県大隅地域にお住まいで、学校に行けないでいる子どもたちや、社会になかなか踏み出せないでいる方々が、お住まいの場所やご家庭の事情に関係なく、物事への興味や関心を持てるための居場所の利用や仕事など体験活動の参加などができるように、こちらで無料送迎させていただくという事業です。お気軽にお問い合わせ下さい!

〔カレンダー〕

WAM(4月)のサムネイル WAM(5月)のサムネイル WAM(6月)のサムネイル WAM(7月)のサムネイル WAM(8月)のサムネイル WAM(9月)のサムネイル WAM(10月)のサムネイル WAM(11月)のサムネイル WAM(12月)のサムネイル WAM(令和3年1月)のサムネイル WAM(令和3年2月)のサムネイル WAM(令和3年3月)のサムネイル

 

また、地域において様々な分野で活動されている方、これから活動したいとお考えの方向けに講座を開催致します。ぜひ、ご参加下さい!

鹿屋寄り添い支援養成講座チラシのサムネイル

この取り組みは、独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成を受けて実施いたしました。

アクセス

  • 鹿児島交通 「航空隊前」徒歩10
  • かのやくるりんバス「西原2丁目中央」徒歩5
  • 鹿児島交通(大須循環)「松原住宅前」徒歩3

駐車場有り(お車・バイク・自転車でお越しいただけます)

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